本の基本情報
本の基本情報について紹介する。
- 著者名:安宅和人
- 書籍名:イシューからはじめよ ─ 知的生産の「シンプルな本質」
- 出版社:英治出版
- 発売日:2010/11/24
- 頁 数:262ページ
内容
イシュードリブン: 「解く」前に「見極める」
イシューとは知的な生産活動の目的地となるものだ。
イシューを知り、それについて考えることでプロジェクトの立ち上がりは圧倒的に速くなり、混乱の発生も予防できる。目的地の見えない活動はつらいが、行き先が見えれば力が湧く
「これは何に答えを出すためのものなのか」というイシューを明確にしてから問題に取り組むなければ、後から必ず混乱が発生し、目的意識がブレて多くの無駄が発生する。
なので、問題を解くまえにイシューを見極めるのだ。
生産性を上げたいなら「バリューのある仕事」をする必要がある。
「バリューの本質」は「イシュー度」と「解の質」の2つの軸から成り立つ。
本の著者は良いイシューの3つの条件を上げている。
- 本質的な選択肢である
- 深い仮説がある
- 答えを出せる
そして良いイシューの表現は「〜はなぜか?」と言う「Why」ではなく、「Where」「What」「How」で表す。
ここまで読んでイシューの重要性や考え方を知ることが出来る。
しかし、イシューの見極めは読んだだけでは身につかない。これは経験をしていくしかない。
仮設ドリブン1: イシューを分解し、ストーリーラインを組み立てる
イシューの分解
大元のイシューを「答えが出せるサイズ」にまで分解していくことで部分ごとの仮説が明確になり最終的に伝えたいメッセージが明確になる。
多くの検討テーマでは分解するための型が存在する。しかし、何よりも強力なのは「自分の視点を加えた型」を作ることだ。
これも経験をしていくしかない。読んで理解出来るものではない。
ストーリーラインの組み立て
ストーリーラインは 立ち上げ段階、分析・検討段階・まとめ段階 のどこでも使える。
ストーリーラインの型として2つ挙げられている。
現在、報告資料を作る機会があるのだが、ストーリーができていないとダメ出しを何回も受けている。
イシューがありサブイシューに分解と言うのができていない。ここを疎かにしてストーリーは作れないことを頭に入れとかなければならない。
仮設ドリブン2: ストーリーを絵コンテにする
、「最終的に伝えるべきメッセージ(=イシューの仮説が証明されたもの)」を考えたとき、自分ならどういう分析結果があれば納得するか、そして相手を納得させられるかと考えることだ。そこから想定されるものをストーリーラインに沿って前倒しでつくる。
この分析イメージ作りの作業が「絵コンテ」だ。
絵コンテ作りの3つのステップがある
軸の整理
「比較」が言葉に信頼を与え、「比較」が論理を成り立たせ、「比較」がイシューに答えを出す。優れた分析は、タテ軸、ヨコ軸の広がり、すなわち「比較」の軸が明確だ。そして、そのそれぞれの軸がイシューに答えを出すことに直結している。
つまり、分析では適切な「比較の軸」がカギとなる。どのような軸で何と何を比較するとそのイシューに答えが出るのかを考える。
定量分析の考え方3つ
この3つを掛け合わせることで多くの表現が出来る
イメージの具体
数字が入ったイメージを作っていく中で、「このあたりの軸の取り方が要になる」「このヨコ軸は細かく値を取らないといけない」と言ったことがわかるようになってくる。
分析の本質は比較だと述べた。したがって分析、また分析的な思考における「意味合い」は、「比べた結果、違いがあるかどうか」に尽きる。つまり「比較による結果の違い」が明確に表現できていることが「意味合い」を表現するポイントになる。明確に理解し得る違いとして、典型的なのは次の3つだ
これらのような最終的に欲しい「意味合い」を分析イメージとしてかき入れていく。分析開始前に必要な結果に対する強い意識を持っておくことで、結果がうまく出ないときにも落胆し過ぎずに済み、諦めてはならないラインも明確になる。当然「何を生み出すためにこの分析をやっているのかわからない」ということも回避できる。
分析する前に結果をイメージすることがなかったので、意識していかないと出来ない。先に仮説を持っておく仮説思考と同じだ。
方法の明示
どうやって値をとるのか、実際のアプローチについても考えていく必要がある。
欲しいデータからアプローチを考える。そうすることで、既存の手法では取れないと分かるかもしれない。
アウトプットドリブン: 実際の分析を進める
最初に大切なのは「いきなり分析や検証の活動をはじめない」ことだ。最終的に同じイシューを検証するための分析であっても、それぞれには軽重がある。
もっともバリューのあるサブイシューを見極め、そのための分析を行う。ストーリーラインと絵コンテに沿って並ぶサブイシューのなかには、必ず最終的な結論や話の骨格に大きな影響力をもつ部分がある。そこから手をつけ、粗くてもよいから、本当にそれが検証できるのかについての答えを出してしまうわけだ。
重要な部分をはじめに検証しておかないと、描いていたストーリーが根底から崩れた場合に手がつけられなくなる。ここはストーリーラインのなかで絶対に崩れてはいけない部分、あるいは崩れた瞬間にストーリーの組み替えが必要となる部分であり、具体的には、カギとなる「前提」と「洞察」の部分になるだろう。
「空・雨・傘」で言うと「空」が肝の前提部分となり、ここによってストーリーが根底から変わってくるので、「空」から取り掛かるのが良さそう。
アウトプットする上で気をつけなければいけないのが、「自分たちの仮説が正しいと言えることばかり集めてきて、本当に正しいのかどうかという検証をしない」と言うことだ。
都合の良いことだけを集めるのではないのだ。
正しくアウトプットを理解し、注力し、トラブルを回避すれば、最後は「軽快に答えを出す」だけだ。どんなイシューもサブイシューも、答えを出してはじめてそれに関する仕事が終わった、と言える。
ここで大切なことは「停滞しない」ことだ。要は手早くまとめていくのだが、そのためには次のコツを知っておきたい。停滞を引き起こす要因として、最初に挙げられるのが「丁寧にやり過ぎる」ことだ。「丁寧にやってなぜ悪いのか」と言われるかもしれないが、生産性の視点から見ると、丁寧さも過ぎると害となる。
僕の経験では、「60%の完成度の分析を70%にする」ためにはそれまでの倍の時間がかかる。80%にするためにはさらに倍の時間がかかる。
一方で、60%の完成度の状態で再度はじめから見直し、もう一度検証のサイクルを回すことで、「80%の完成度にする半分の時間」で「80%を超える完成度」に到達する。
単に丁寧にやっていると、スピードだけでなく完成度まで落ちてしまうのだ
つまり、回転数を意識する。自分の仕事であるエンジニアリングでは活かせるところはなさそう。と思っていたが、設計書のレビューとかは何度も見てもらうことでレベルが上がっていくことはある。
何にでも当てはまる。回転数を意識しよう。
追記: エンジニアの技術でも同じだった。
世界的技術イケメンの作り方|牛尾 剛|note
メッセージドリブン: 「伝えるもの」をまとめる
ストーリーラインで組み立てた以下のを基に作っていく。
ストーリーを磨き込む。ストーリーがないと相手は理解できない。
相手に何を思わせたいのか、相手にどう行動をさせたいのかを考えながら作っていく。
最後に
これが出来るようになれば確実に結果を出せるとは思う。しかし、再三言っているが、読んだだけでは身につかないので、実践して身につけていくしかない。
毎日の仕事の中で「この作業って本当に意味があるのか?」と思ったら立ち止まって、「それは本当にイシューなのか?」と問いかけることから始めよう。
実践することを肝に銘じて行動していきたい。
自分にとってはめっちゃくちゃ良い本でした。ぜひ読んでみてください。